大阪最北端の町、能勢町。
大都市の近郊にありながら日本の原風景である里山が広がり、
多様な生き物を育んでいます。
受粉にも一役買ってきたミツバチは、
豊かなこの土地の多くの生き物と共に生きています。
生物多様性全国1位の里山、能勢。
この地域の山林は昔から人々の生活に使われていた雑木林が多く、炭焼きやシイタケ栽培が盛んだったこともあってクヌギやコナラなどが豊富です。そのためオオムラサキ、オオクワガタなど雑木林特有の生き物がたくさんいます。
「三草山ゼフィルスの森には10種のゼフィルス、「地黄湿地」にはモリアオガエル、栗林にはハリブトシリアゲアリと共棲するキマダラルリツバメ。・・・・・美しい、珍しい、特異な生き物もいます。
こうした生態系の豊かさが評価され、平成28年に発表された「生物多様性に優れた自治体ランキング」で能勢町は全国1位(※)になりました。
※「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の全国665自治体調査より」
特産品の栗など蜜源となる植物が豊富
能勢町は特産品である栗をはじめ、柿や山桜、ソヨゴ、ウツギ、ハゼ、ネズミモチ、リョウブ、カラスザンショウなど蜜源植物が多彩で広範囲に分布しています。蜜源植物とはミツバチに花の蜜を提供する植物です。ミツバチが花蜜を集める過程でおしべの花粉をめしべの先端に受粉することで植物は実をつけます。
ミツバチは食糧生産の一翼を担っていると言えます。
ニホンミツバチとセイヨウミツバチの存在
日本には2種類のミツバチがいます。
ひとつはニホンミツバチです。
日本が大陸と陸続きであった時期に移り住んだ、と言われ、人間が日本列島に住みつく以前から住んでいました。
そしてもうひとつがセイヨウミツバチです。
セイヨウミツバチは明治期に、ハチミツを採るために導入され、日本に来てまだ150年足らずです。
私が付き合っているのはセイヨウミツバチです。
現在、販売されているほとんどがセイヨウミツバチのハチミツです。
ニホンミツバチとセイヨウミツバチは種が違うため交尾しても子孫は残せません。
花を追って里山を移動しながら
ミツバチはその時々の花の蜜を集めます。大量に流蜜する蜜源植物の近くにミツバチの箱を数箱づつ分散して置けば大量の蜜を効率的に集めて来ることになります。その場所の蜜が終われば、次の流蜜地に移動です。軽トラに数箱積んで移動します。 春は山桜、初夏は柿、ソヨゴ、ウツギ、栗、盛夏はトウネズミモチ、リョウブ、カラスザンショウなどの花を追って・・・・・・ 蜜が採れるのは4月から8月までの季節です。
早咲きの山桜が3月末から咲き4月下旬まで、良質の花粉と花蜜でミツバチにとっては最大の味方です。
5月下旬に咲き、短期間で終わります。能勢では各家庭に2~3本、古くから愛されてきた果樹です。
栗の王様「銀寄」は能勢原産。6月の初めから半ばの開花時期に独特の匂いを発散。ミツバチは特に好みます。
ミカン科の落葉樹で群生し、荒地を好みます。蜜源の少ない7月末から8月前半に咲く、ありがたい花です。
能勢町は大阪の都市部からわずか1時間です。
これだけの多種多様な生き物に恵まれ、
貴重な風土を持っていることはありがたいことです。
大切にしなければなりません。
栗や柿などの果樹や野菜の実りに関わってきたミツバチ。
もしミツバチがいなくなったら?・・・・